8.6 難関大合格者は過去問は早めに『見る』
更新日 2021年5月16日
8.1~8.5ではやるべきことを効率的にこなす、という『定着しやすい勉強方法』の話をしてきました。
しかし難関大を受験するには「そもそも何を勉強するべきか?」という優先順位の観点も重要になってきます。
例えば難関私大の英語や社会ではかなりマニアックな知識も求められますし、難関国立大学は教科数も多く、共通テストの対策も必要になるため、全てを完璧にするのは困難です。
全てを完璧にするのが難しいとすると、より得点につながる教科/単元/内容からこなしていくという優先順位が必要になってきます。
優先順位を考えるには『過去問からの逆算』で考えていくのが王道です。
受験日までに過去問レベルで合格最低点以上を取れるようになることが受験のゴールです。
アンケートでは、東大/京大に合格した人は「過去問で問題の傾向をつかみその対策をした」という解答が圧倒的に多かったです。
東大/京大に合格するような人は、ガリ勉が多いように見えて、実はムダな努力が嫌いな人も多いように思います。
ムダな努力を避けるために、過去問(ゴール)を分析して、優先順位の高い勉強内容を決めて、最短で合格圏内を目指す。
特に出遅れたにも関わらず逆転で合格する人には、こうした優先順位を強く意識した人が多いように思います。
多くの受験生が「充分な実力がついてから」と思いがちですが、過去問は知るのはできるだけ早い方がいいです。
アンケートでは、第一志望に合格した人は、不合格だったよりも早く過去問を見ていました。
(「解いた」ではなく「見た」という点に注意してください)
また難関大を受験する人ほど、早い時期に過去問を見ています。
なぜ早い時期に過去問を見た人ほど難関大に合格できるかというと、難関大ほど問題の傾向に特徴があるからです。
例えば、アンケートに協力してもらった東大/京大合格者72人の内、16人は早慶/上智MARCH/関関同立などに不合格になっていました。
もし一般模試の偏差値だけで合否が決まるならば、これは考えいにくいことです。
(とはいえ、東大/京大に合格する学力がある人が、早慶/上智MARCH/関関同立に受かりやすくはあり、あくまで必ずしもきれいには比例しないという反例をあえて挙げたと思ってください)
これは東大/京大に向けた勉強と、早慶/上智MARCH/関関同立に向けた勉強がある程度は異なる、つまり問題傾向が異なるということを示唆しています。
逆に言えば、優先順位として志望校の問題傾向に合わせた対策をすることで、効率的に実力を付けることができるということです。
できたら過去問にチャレンジするのもいいですが、チャレンジするのが難しかったら、まずは見るだけでも大丈夫です。
大事なのは志望校の問題を知ることです。
難しくて驚く人もいるかもしれませんが、難関大ほど合格最低点は下がります。
例えば東大ですと二次試験で5~6割程を取れれば、合格できます。
「この問題を全部解かなければならないのか」と思わずに、「この中から解ける問題を半分作ればいいんだ」と思うといいと思います。
「そもそも勉強が進んでいるから、早い時期に過去問に取り組めるのでは?」と思うかもしれませんが、そうとは限りません。
歯が立たないのは分かっていたが高2に過去問をやった。どこで点を取るかを意識しながら、残り1年を対策に充てることができた。
要領の良い人ほど、早めにゴール(過去問)を把握し、やることの優先順位をつけていることが分かると思います。
出遅れた受験生が逆転合格する場合、過去問を徹底的に研究して、無駄を省いた勉強をするケースが多いです。
高校3年夏までサッカーをやっていたので勉強は出遅れた。まず過去問を徹底的に見て、どこで点を取ってどこを諦めるかを決めた。
東大に合格する人が、目標から逆算して優先順位をつけ、目標に一直線に進んでいたということが分かる例と思います。
決して完璧主義者ばかりではありません。
ちなみに「目標から考える」の逆は「手段が目的になる」です。
解けるようになるが目的なのに、宿題を終わらせることが目的になる。
覚えるのが目的なのに、きれいにノートを書くのが目的になる。
思い当たる人は気を付けて下さい。
本コラムのまとめ
- 受験のゴールは志望校の過去問で合格最低点を超えること
- 早めに過去問を見て、やることの優先順位をつける
- 歯が立たなくても構わないので、まず志望校の問題を知る